2019年11月2日土曜日

久しぶりツーリング




















のんびり漕ぐ。分岐で曲がる。道のへこみをよける。

かんたんな応対を重ねながら、まわりのものにも意識を向ける。

鄙びた街並み、集落道の絶妙な曲がり具合、静かな峠。

すると、それまで頭の中に居座っていたいろんな事が少しずつ隅に追いやられ、
いつの間にかニュートラルな状態にリセットされていく。
自転車で出かけることにはそんな効能がある。と思う。



2年前の四国ツーリングから全く走っていなかったので、
頭はニュートラルとは程遠いのだが、
物置につるしたままだったランドナーは、
空気が自然に抜けていたことをのぞけば、とりたてて不都合は見当たらない。


そのランドナーで三条通りを東へたどる。この道は東海道でもある。



三条神宮道の交差点では、左に平安神宮の赤く巨大な大鳥居が見える。
右手の先には、それに比べると正統な佇まいの粟田神社の鳥居。

もうひと漕ぎすると、蹴上(けあげ)発電所跡。
そこからはインクラインの側壁に沿って緩やかに登る。

三条通りは今も幹線で、車が多くて怖い。



日向(ひむかい)大神宮の前を歩くように進む。



峠というほどでもない九条山を越え、しばらく下って、
幹線の三条通りから、旧東海道の三条通りに入る。



幹線では、ジャージに身を包んだ多くのローディーさんが抜き去っていった。
旧東海道の三条通りでは、
普通の自転車に乗った若者たちやママさんたちにスイスイ抜かれていく。
道幅が狭いので車はそれほどでもないが、相変わらず気は遣う。



山科駅前の交差点を過ぎ、
歩行者や対向車、自転車、せり出す電柱などをかわして進むと、
旧道らしさがよく似合う徳林庵の六角堂が目に入る。さっそく一休み。



早朝、天気快晴、大型連休ははじまったばかり。
 
井戸のそばで回収を待つ古紙の塊ですら輝いて見える。
このあたり、四ノ宮っていいところだな。



下町風情の漂う街なかをさらに進み、
京阪電車の京津線四宮駅へ向きを変え、駅横の踏切りを渡る。



そのころから人通りはぐっと減り、のんびりした走りになる。
琵琶湖疎水に沿った道を通り、
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小関越え(こぜきごえ)に向けて登り始めた。


藤尾磨崖仏がある鄙びた寺の前を通る。
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琵琶湖疎水第1竪坑まで一生懸命漕ぎ登る。回りは新緑の深山の趣。
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10分程押し登ると小関越えの峠に到着。地蔵堂がある。
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峠の先の道は明るく爽やかだった。
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そのまま道なりに下って、ほどなく大津の市街地にたどり着き、
何となく二、三度曲がって大津港に出た。
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今日は、頭のリセットと足の衰え具合と自転車の調子の見極めを兼ねての小関越え
だったが、思いのほか早くついてしまった。

港の広場で、集まってきた雀と一緒にチョコパンを食べながらしばし思案し、
旧東海道を行けるところまで南下することにした。



琵琶湖沿いの旧東海道は、歩く人が多いのか案内板が整備されていて迷うことはない。

 旧街道の面影を残す家屋や寺
 地元に根付いた雑貨屋や酒屋などの商店
 湖岸近くであることとかかわりがありそうな神社
 時折交差する京阪石山線の駅と踏切


頭のリセットに効きそうな成分が配合されたよい道だった。


途中、地元スーパーに立ち寄ったが、
鮒ずし以外にご当地らしいものは見つけられなかった。
もっと自分のご当地品発見スキルを上げなければならない。



香りに誘われてうなぎの看板の店に入ったが、鰻弁当は売り切れだった。
値段は不明のままだが、財布がリセットされずに済んでよかったかもしれない。
と自らに言い聞かせる。



道は、旧街道らしからぬ無理やりつないだような区間も一部あったが、
特に迷うこともなく鳥居川の交差点まで辿ることができた。



ここで、瀬田の唐橋へと向かう旧東海道から外れて、石山寺へ向かう。

集落の間を道なりに行くと、瀬田川が見える電車沿いの道に出て、
まもなく京阪石山寺駅。そこから車道沿いに進み、石山寺に着いた。
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まずは門前に一番近い茶屋で腹ごしらえ。 志じみ釜飯の定食。
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頼んでから見つけた「タイカレーmeetsふなずし!琵琶湖カレー」にしてもよかった。



石山寺は、奇岩に囲まれた山寺。今の季節は新緑がまぶしい。
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上に登れば、木々の間から瀬田川が見えた。写真ではよくわからないが。
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かれこれ一時間くらい石山寺を散策したあと、来た道を戻る。



京都への登り返しに、京阪京津線が通る国道1号線を選んだのは間違いだった。
交通量が尋常ではない。

大谷駅の手前で集落道に逃げ込んだら、出口に信号がなく再合流できなかった。
さらに先では、名神高速のランプに阻まれて不要な大回りを強いられた。



初めての道だったので、気持ちのいい発見もあればこんな混乱もあった。
でもまあ、どれも頭をリセットする向きに効いてくれた。



おわり。


本記事は、2018/5/4(金) 午前 11:38にYahooブログに掲載したものです。