白神山地 弘西林道
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初めてのランドナー自転車ツーリング、10年前の記録です。
白神山地を貫く弘西林道の1つ目の峠、津軽峠に無事つきましたが...
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白神山地の弘西林道を日本海に向けて自転車で走っている最中、
後ろタイヤのバーストが再発したのが、津軽峠を下り始めた10分後、朝8:00ごろ。
津軽峠でたっぷり休憩したので、これ以上時間をとりたくはなかったのだが、
先はまだ長いし、ここでしっかり処置をしておいた方がよいと自分に言い聞かせ、
後輪をはずしにかかった。
昨日見たタイヤの破れがさらに広がっている。
空気を入れ直してみたり、
チューブを引っ張り出してビニールテープをさらに巻いたり、
乏しい引出しを総動員して何とかならないか思案するが、全く駄目。
というより、
昨日なぜ釣瓶落峠から暗門までの長い距離を耐えたのかが不思議なくらいだ。
焦りをよそに、ブナの新緑が朝日を受けてますます輝いている。
やけくそになって、タイヤの上からビニールテープをぐるぐる巻きにしてみるが、
何の対策にもならない。
後ろのブレーキにビニールテープが引っ掛かるだけ。
頭真っ白。
30-40分ほどの無駄な抵抗の末、全く何も思いつかなくなり、
破れたタイヤのまま走り続けるしかなくなってしまった。
当面は下りなので、前ブレーキだけを使ってずるずると下る。
途中木々の間から垣間見える山々が妙にすがすがしい。
登りはほぼ押し。下りは前ブレーキをかけて進むので乗ることはできるが、
スピードが出せないので距離が全く稼げない。
道は、所々舗装部分や道路標識などがあり、
例えば岩崎まで41kmというあまりうれしくない情報を提供してくれたりする。
9:30、津軽峠と2番目の天狗峠との境目にあたる赤石川に差し掛かかろうとする頃、
エンジン音を響かせて、自動車の列が過ぎていった。
9:00の開門と同時に入ってきた車に、もう追いつかれてしまった。
皆、山菜とりや渓流釣りのために赤石川に架かる橋の近辺に車を止めて、
それぞれに準備をはじめている。
この人たちは今、ワクワク感に満ち溢れている。
自分は深山の真っただ中で焦っている。
お門違いの恨めしさをその人たちに向けながら、天狗峠へ向けて押しを開始した。
峠への登りというのは、取りつきと最後の詰めが急という事が多いと当時思っていた。
峠ではなくそれは人生かも、と今は考えるようになっている。
だから10年後にはもっと別の結論に達しているに違いないが、
とにかくその時は、取りつきと最後の詰めの間の緩やかな部分もバテて漕げなくなり、
こんな緩やかな道でも押したままだった。
相変わらず、いたるところで水が流れている。
状況が結構ヤバイ事になっているにも関わらず、完全にはパニックになっていないのは、
まだ時間が早いこと、天気がいいこと、テントや食料があること、
そして水には全く困らないことがあるから。
この尖った特徴的な山は、後に青森ブロガーに教えてもらって岩木山だと知ったのだが、
当時は山座同定する余裕もなく押し続けていた。
ーつづくー
本記事は、2009/6/3(水) 午後 6:06にYahooブログに掲載したものに、
追加・修正を加えたものです。